【TEDまとめ】右脳=創造力は嘘?実は科学的根拠のない説に関するTED3選
TEDとは?
TED(Technology Entertainment Design)とは、毎年大規模な世界的講演会「TED Conference」(テッド・カンファレンス)を開催している非営利団体です。TEDではテクノロジー、環境問題、アートなどありとあらゆる分野について世界中の専門家がプレゼンテーションを提供しています。
プレゼンテーションは基本的に英語で行われ、講演内容はTEDのウェブサイトで無料で閲覧することが可能。ウェブサイトでは有志による多言語翻訳も提供されており、日本語のスクリプトも読むことができます。
右脳=創造力は嘘?実は科学的根拠のない説に関するTED3選
血液型による性格診断や脳の10%神話など、科学的な根拠はほとんど無いにも関わらず、人々がつい信じてしまう俗説というのは世の中に数多くあります。
今回はそんな科学的根拠のない俗説の中から3つ程取り上げてみたいと思います。どれも起源が意外と古かったりして面白いですよ。
左脳・右脳という俗説:エリザベス・ウォーターズ
人間の脳が左側と右側に分かれていることは明白です。この構造をもとに、脳に関してもっともよく知られる、「左脳が論理性を司り、右脳が創造性を司る」という考えが生まれました。しかし、これは科学的根拠のない俗説なのです。では、その考えはどうやって生まれ、どこでおかしくなったのでしょう?長い間はびこってきた誤解に、エリザベス・ウォーターズが迫ります。
1本目はエリザベス・ウォーターズによる「左脳・右脳という俗説」。
右脳型・左脳型人間というのは、今でも当たり前のように話されますよね。でもこの理論、科学的なエビデンスはほとんど無いって知っていましたか?
この俗説は1800年代半ばまで遡り、当時の科学者が外傷によってコミュニケーションに支障をきたした患者を調べた際に、患者の脳の左側に損傷があるのを発見し、言語が脳の左側で支配されているという仮説を立てたことに由来するそうです。
その後「ジキルとハイド」のような物語が人々の間で人気を博したこともあり、現在に至るまでこの俗説はまことしやかに語り継がれているとのこと。
より正確に言えば、右脳側と左脳側でそれぞれ得意とする分野はあるようですが、あくまでもそれは脳の機能としての話であり、「あの人は想像力が豊かだから右脳が発達している!」とはならないようです。
人間が誤解してしまう理由:ジョセフ・アイザック
1901年に ダーフィト・ヘーニッヒが論文を発表しました。彼の論文は「舌の味覚地図」のルーツと言われており、舌を4つの部位に分けて図示しました。発表された味覚地図は、教科書や新聞にも掲載されました。この地図には1つだけ問題があり、間違っているのです。こういった誤解は、どうやって広がるのでしょうか?また 間違った事がどうしてこうも信じ易いのでしょうか?ジョセフ・アイザックが誤解の世界に関して詳しく語ります。
2本目はジョセフ・アイザックによる「人間が誤解してしまう理由」。
このTEDトークでは、なぜ人々が今回紹介してきたかのような右脳・左脳のような俗説を簡単に信じてしまうのかを説明しています。
ここでの代表的な例として挙げられているのが、「舌の味覚地図」に関する俗説です。実際のところ、私もこのTEDを見るまで当たり前のようにこの話を信じていました。
しかし、この理論の基となった1901年のダーフィト・ヘーニッヒによる論文には確かに舌の味覚地図に関する言及はあるのですが、その舌の感度差は「非常に小さい」としており、実際は舌全体で味覚を認識していると記していたようです。
ではなぜ、彼の論文から100年以上経った今でも人々はこういった俗説を信じてしまっているのでしょうか?
このプレゼンでは、その理由の一つとして「話の単純さ」を挙げていますが、これは近年のフェイクニュースにも通ずる問題だと思います。我々は単純で、分かりやすい、キャッチ―な情報を簡単に信じてしまいます。
誰が言ったか、「人は自分が信じるべきものではなく、自分が信じたいものを信じてしまう」のです。
進化に関する神話と誤解:アレックス・ジェントラー
進化は実際には、どのように進んできたのでしょう。これまで広く伝えられてきた進化のたとえ話のようにではありません。正しくは、進化するのは個体ではなく生物の種であり、遺伝子自体が子孫に受け継がれるよう欲求するわけではありません―遺伝子が何かを望むことはできないのです。
3本目はアレックス・ジェンドラーによる「進化に関する神話と誤解」。
皆さんは進化論を信じていますか?大半の人はYes、と答えると思います。まさかスパゲッティ・モンスター教の方なんていませんよね?
ではこの質問はどうでしょう?「進化とは生物個体が周りの環境に適応することだ」これはYesでしょうかNoでしょうか?
答えはNoです(私はYesだと思ってました…)。この理論の例として、キリンは高いところの葉を食べるために首が長く進化した等がありますが、この説は現在では否定されているそうです。
実際は生物が環境に応じて能動的に進化することはなく、キリンの首が長いのは「突然変異で生まれたやや首が長いキリンが生き残ったから」なのだそうです。
近年(といっても初版は1976年ですが)はリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」のような著書が様々なメディアで取り上げられたこともあり、この「適者生存説」もどこかで聞いたことがあったような気がしますが、良く考えると頭の中で整理できてなかったんだなーと気づかされます。
ただ生物の進化に関してはまだまだ未知の部分が沢山あるようなので、100年後にはこの理論も当時の俗説として否定されているのかもしれませんね。
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