精力とは何かについて考えてみる
精力とは一体何なのか?
ある日クリエイトに買い物に行った時、薬局コーナーに精力剤をうたう商品が大量に陳列されていたのを見つけた。
精力は年と共に衰えるというけれど、今年35になる自分の精力は衰えているのだろうか。そもそも中高生の精力はスゴいとか言うが、学生時代そんなモリモリだった覚えはない。というかそもそも「精力」とは一体何なのだろうか?
広辞苑で意味を調べてみると、
せい‐りょく【精力】 〘名〙 心身を活動させる力。物事を成し遂げていく活力。 「事業に━を注ぐ」 「━的に働く」 ◇性的な能力の意でも使う。
後段の「性的な能力の意」は分かるが、前半の方はとても漠然としており、具体的にどういう力なのかは分からない。
精力をつけるために
分からないなら自分の身体で試してみるしかない。ちょうど最近テレワークが続いて、やる気がイマイチ出ない日々が続いていたのだ。精力をつけることで仕事をバリバリこなせるようになるかもしれない。
では、精力をつけるためには具体的にどうすべきか?
これは精力をつける食べ物を食べるのが一番分かりやすいだろう。というかそれしか思いつかない。
「精がつく食べ物」で検索すると、牡蠣、ウナギ、ニラといった一般的な食材から、すっぽん、マムシ酒など由緒正しい精力増強食材がヒットする。中にはスパゲティという情報もあった(セレンの含有量が多いためだとかなんとか)。
テレワークのおかげで自炊をする時間はたっぷりある。せっかくなので精力のつく料理を一週間作ってみることにしよう。
精力測定
精力をつける方法は決めたが、本当に精力がついたかどうかを確かめるためには、まず自分の精力が今どれくらいなのかを測定する必要がある。
体力測定ならぬ「精力測定」だ。
しかし広辞苑で調べたとおり、性的な意味を別にすれば「精力」という意味はとても曖昧なもの。指標を自分で考えなくてはいけない。
精力=パワー
精力とは、体から湧き上がる力的なものである。要はパワーである。そしてパワーを測る方法として熟考の末真っ先に思いついたのは、パンチングマシーンだった。
今思うと他にもマシな方法がありそうな気もするが、一度思いついてしまうとどうしてもパンチングマシーンで測りたくなってしまった。
しかし、ここで問題が発生する。藤沢駅周辺のゲームセンターを回ってみたが、どこにもパンチングマシーンが置いていないのだ。なんてこった。
学生時代の記憶を呼び起こし、パンチングマシーンがどんな場所に置いてあったかを必死で思い出す。
そうだ、バッティングセンターだ!野球部にいた頃、筋肉ムキムキで怖かった先輩が200kgオーバーの記録を出して戦慄したのをよく覚えている。
調べてみると、小田急線長後駅の近くにSBS(湘南バッティングスタジアム)という場所があるらしい。設備もそこそこ大きいし、ここならあるかもしれない。
ドキドキしながら店に入ると…あった!パンチングマシーンだ!「SONIC BLAST HEROS」という筐体で、良い感じに年季が入っている。
念願のパンチングマシーンを見つけてテンションが上がってしまったが、冷静になると一人でこれをやるのは結構恥ずかしい。こういうのは友達とか、家族でワイワイやるものではないのか。
中々踏ん切りがつかず、パンチングマシーンの近くに座って様子をみる。すると意外と人気があるようで、家族連れが何組かパンチングマシーンを楽しんでいた。大体の場合、子供が挑戦した後、お父さんが出てきて「パパすごーい!」的な感じになる。とても幸せそうな光景ではないか。
さて、いつまでも様子を見ているわけにもいかない。なるべく周りに人がいないタイミングを見計らって200円を入れる。
スタート画面が表示され、ゲームシステムの説明がされる。パンチ力を測定するだけでなく、3回の合計でステージをクリアする構成のようだ。次に難易度を選択。ここは一番簡単なEASYからやってみることにする。
さぁいよいよパンチ力、もといパワーを測る時がきた。息を吸い、こぶしを握り締め、振りかぶって思いっきり的を殴る。
ボゴン!と鈍い音がして、画面上に記録がでる。105kg。当てる角度が良くなかったのか、手首がとても痛い。間髪入れず2回目が始まる。もう一度殴る。またしても105kg。
そしてラストの3回目。今度は手首を痛めないように、的の真ん中に直角に拳を当てるようにして打ち抜く。137kg。おっ、これは結構いいんじゃないの?
スコアの合計が算出され、ランキングが表示される。平均は151kg位らしく、ゲーム内のキャラに「お前のパンチは貧弱だなぁ~」的な煽られ方をされてしまった。これは悔しい。
パワー(パンチ力):137kg
この数字が精力をモリモリつけた後にどうなるか。ランキング上位に載っちゃったらどうしよう。今からワクワクが止まらない。
精力増強生活
さて、いよいよこれから精力増強生活が始まるわけだが、いくつかルールを予め決めておくことにする。あまり厳しく設定すると続かなくなるのでなるべくシンプルに。
- 期限は一週間
- 期間中、筋トレなどのトレーニングは一切行わない
- 一日最低一食「精がつく」と言われている食べ物(料理)を食べる
以上である。
1日目:レバニラ炒め
レバーには豊富なビタミンAと鉄分が含まれており、ニラにはβカロテンやビタミンC、ビタミンEがたっぷり。これらの栄養は精力増強に良いらしい。
2日目:とろろ焼きそば
友人の結婚式が昼にあったので、夜はさらっと食べられるとろろを選択。焼きそばにかけてみるとこれが意外と美味しい。
ちなみに山芋は生で食べると酵素も一緒に摂取できるので栄養的にもグッドらしい。
ふと思ったのだが、こういった芋には山芋、長芋や大和芋、自然薯とか色々あるがイマイチ違いが分からないのは自分だけだろうか。
3日目:牡蠣とアスパラのバター焼き
牡蠣には、肝臓にエネルギー源として蓄えられるグリコーゲンのほか、鉄や銅などの必須ミネラル、また性欲増進をうながす亜鉛も多く含まれており、アスパラには、スタミナアップや疲労回復のほか、血管を拡張する「アルギニン」の合成にも関わる「アスパラギン酸」が含まれているとのこと。
4日目:十割そば
そばに含まれるルチンは精力増強効果があるらしい。ここはもちろん十割そばをチョイス。そば湯には栄養がたっぷりと溶け出しており、飲んだ方が良いそうなので残りは味噌汁にしておく。
5日目:山芋と鶏肉、アスパラのスタミナ炒め&そば湯味噌汁
山芋などのぬめり成分である「ムコ多糖類」には、粘膜を保護したり消化吸収を高めたりする作用のほか、高い疲労回復効果やスタミナアップ効果があるとのこと。そば湯味噌汁も、なめこを入れた時のようなとろみがあって悪くない。
6日目:すっぽん鍋
精力増強と聞いて誰もが最初に思いつくのが、すっぽんではないだろうか。精力増強界のリーサルウェポンと言っていいだろう。
本物はとても手に入らないので、近所のスーパーで売っていた「すっぽんスープ」なるもので代用する。
色は無色透明。そのまま舐めてみると、生姜がほんのりきいた鶏の出汁に近い味がする。クセもなくさっぱり美味しい。
精力測定(2回目)の結果
さて、いよいよこの日が来た。精力測定(2回目)である。この一週間、欠かすことなく精力増強フードを食べ続けてきた。心なしか身体中にパワー的な何かが満ち溢れている気がする。
一週間ぶりにSBSを訪問。店の中は相変わらず家族連れで賑わっている。2回ほどバッティングをして軽くウォーミングアップをし、パンチングマシーンに200円を投入。
前回はEASYでクリアしたので、難易度をもう一段階上げてNOMALでチャレンジ。今回は暴走したダンプカーをパンチで止めるというシチュエーションらしい。先週までの自分なら「そんな無茶な…」と思うところだが、今の自分は違う。なんか凄いパンチが打てそうな気がする。
バーがゆっくりと起き上がる。あしたのジョーの丹下のおっつぁんの教えを思い出し、右拳に全体重をのせて、まっすぐ目標をぶちぬくように打つべし!
記録は…141kg!ちょっと上がってる!ちょっとだけど!
しかし、その勢いでパンチを放つも2回目は131kg, 3回目は105kgとイマイチな結果に。
一瞬テンションは上がったものの、プラス5kgは正直誤差な気もする。
精力とは○○と見つけたり
残念ながら、精力増強生活をしてもパワー(パンチ力)はあまり伸びないということが判明した。まぁ薄々分かってはいたのだけれど。
一方で、今回の生活で自分の中で改善を感じられた項目がある。
「早起き力」である。
これは間違いなく良くなった。今まで7時に「眠い~」とか言って起きていたのが、3日目くらいから目覚めが良くなり、7日目には6時に起きてもすっきりと目覚めることができた。おかげで朝から仕事に集中できたし、日中に睡魔に襲われることも減った。
そうか、広辞苑に書いてあった「心身を活動させる力」とはこのことを意味していたのか。答えは最初からあったのだ。
終わりに
精力がつく生活をしてもパンチ力が伸びないことは良く分かったが、目覚めが劇的に良くなって結果的に満足している。というか良く考えると、パンチ力がパワーアップしても現代社会では全く役に立たない。むしろ失敗して良かったとすら言える。
今回作ってみたスタミナ料理はどれも美味しく、特に山芋は思ったより使い道があったので、これからも精力増強生活をのんびりと続けていこうと思う。
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